
その「オペラ座の怪人」マダム・ジリー役で出演中の秋山知子さんに、すみのりこがお話を伺ってきました。
舞台は19世紀中頃のパリ・オペラ座

オペラ座のバレエ教師であり、唯一怪人の正体を知るマダム・ジリーはどんな風に演じられているのでしょうか。
Q、秋山さんが演じているマダム・ジリーというのはどんな人物だと思いますか?
「作品の中ではファントムの真相を知る唯一の人物なんですが、
他の人達と違うのはファントムのことをただ単に‘怖い人’と思っているのではなく、
彼の孤独ですごく可哀想な部分を持っているところに惹かれ、また多大なる才能に心底惚れているんだと思うんです。
だからこそ彼とオペラ座との橋渡しをして、彼を守り、オペラ座をも守っている・・・そんな人物だと思います」
Q、どうやって役作りをしたのですか?参考になさったことはありますか?例えば原作を読まれたとか・・
「もちろんガストン・ルルーの原作は読みました。
あとそれとはまた違う「ファントム」という小説(怪人の生い立ちを綴った作品)や映画や舞台、DVDなど、それぞれ解釈が違うので色々と見せていただいたんですが、マダム・ジリー像っていうのは・・・やはり3人(ファントム・クリスティーヌ・ラウル)の方がメインですのでよくわからない部分もありまして、そこは前任者(四季の先輩)に色々教えていただきました。
Q、演じる上で心がけている(または工夫している)ことはありますか?
「自分の中には一番ないものなんですが、ミステリアスさを出すっていうことを先輩方から教えていただいて
・・でもミステリアスさを出せって言われてもどういう風にしていいかわからないですよね〜(笑)
まずマダム・ジリーの声色や、ちょっとした目線や動き、例えば‘ファントムの気配よ’って皆が右往左往するシーンでマダム・ジリーだけが違うところを見ていてその気配に気づいてるっていう・・
そこまでお客さんが見ていらっしゃるかわからないんですが‘マダム・ジリーだけがファントムの存在を解っている’というところを見えるようにしています」
Q、四季の俳優さんはご自身でメイクされると伺いましたが、ジリーのメイクの特徴は何でしょうか?
「ジリーは紫を基調にという指定があるんです。チークにも紫が入っていたり・・そこに照明が当たることで影になり効果が出るんですが・・客席からご覧になってわかりました?」
Q、いえ、気づきませんでした。
「そう、ほとんどわからないんですけどね。そういうところでもミステリアスさを出しているんです。本当は可愛らしいメイクにも憧れてるんですけど(笑)」
Q、マダム・ジリーを演じるのは何回目ですか?
「もう数え切れません(笑)」
Q、マダム・ジリーに決まったときの気持ちは?自分が演じることになると思っていましたか?
「もしメインキャストの中で自分が出来るとしたらマダム・ジリーしかない、いつかは演じてみたい!って思っていました」
Q、初めてジリーで舞台に上がったときのことを覚えていますか?
「あんまり覚えてないです(笑)初舞台の時は前任者の先輩が裏で付いて一緒に動いてくれるんですね。その前にもあたり稽古って言うのを何度も何度も行っていただいているのに、さぁ!いざ本番ってなったら、今までやったことが全部飛んじゃって。
舞台の裏に下がってもその後どっちに行くのかがわからなくなってしまって、先輩が「こっちよ!」って呼んで下さって・・・
あっという間に終わっちゃって、まるで自分が主役かと思うくらい忙しいって気になってたんですが今思えば全然そんなことありませんでしたね(笑)」
Q、好きなシーンを教えて下さい。
「一番最初の幕開けのシーンが好きです。
最初のオークションのシーンから50年前のパリ・オペラ座に一瞬にしてタイムスリップする時、幕やシャンデリアが上っていく様にぞくぞくしますね。入団前に観た時もそのシーンが一番印象に残りました。
あと、自分の出演しているところで見ていただきたいのは、クリスティーヌとラウルの楽屋のシーン(エンジェル・オブ・ミュージックを歌うシーン)の時、後ろの方でバレリーナにジリーが指導しているんですが、あそこのシーンほとんど見ている人いないと思うんですね。
でもあそこはちゃんと全部本当に指導しているんです。しかも実は毎回バレリーナ達に違う言葉をかけてるんですよ」
Q、そうなんですか〜(驚)!?マイクに入ってないところでもちゃんと会話されてるんですね。
「はい、仮に間違ってマイクが入ってしまっても大丈夫です!」
Q、てっきり‘今日何食べた?’とか、そういうところでちょっぴり遊んでる俳優さんもいらっしゃるのかなぁーと思ってたんですが・・
「遊びたい気持ちもあるんですけど(笑)やはり作品の流れの中に居ないといけないので。マダム・ジリーって笑っちゃいけないじゃないですか。
だからそこで変なこと言ったら絶対笑っちゃいそうなんで・・・」
Q、今日も観ていてやっぱりすごいなーと思ったのが舞台美術なんですが、シャンデリア・階段・小船すべてコンピューター制御ですよね。
俳優さんから見てどうですか?
「すごく細工が細かいんです。
小物1つとっても19世紀当時の装飾や張ってる布も細かいですし、凄いなぁ〜〜って思います。
クリスティーヌの楽屋にあるパパの写真も、客席からは絶対見えない・・オペラグラスで見ても無理だと思うんですけどちゃんと作ってあるんです」
Q、秋山さんご自身について伺います。オフの日はどんな風に過ごしてますか?
「私は実家が大阪ですので今は実家から通ってるんですが、ラブラドールを2匹飼っているんですね。
大好きなワンちゃんが家にいるので、出来る限り休みの日は犬を連れて散歩に行っています。
和歌山まで行ったりもします。あ、私がいない時には親が花博記念公園にも連れて行っていると思います。
私も一度行きたいと思っているんです」
Q、舞台俳優の魅力ってなんだと思いますか?
「自分が演じることによってお客さんから笑顔と拍手がいただけて、それが仕事になっているということが素晴らしいと思います。
稽古が大変でもカーテンコールの時には自然と笑みがこぼれます。
最後は客席に明かりがつくのでお客さんの顔がよく見えるんですよ。
で、表情を見て笑顔でいらっしゃるとこちらも微笑んでいますね」
Q、この作品はファントム・クリスティーヌ・ラウルの3人のラブストーリーが描かれていますが、ファントムは「愛されたい」ラウルは「愛する」タイプだと思うんですが、秋山さんはズバリどちらのタイプでしょうか?
「愛されたい!・・というより‘2人の間で揺れたい’ですね(笑)クリスティーヌになりたい!」
Q、今後の目標を教えて下さい。
「今私が出演しているのはオペラ座の怪人だけなんですが、全国で12〜3作品ほど上演しているので、今日はこの役、明日はこの役みたいに色んな作品に出演したいです」
Q、ハナコリスナーの皆さんにメッセージをお願いします。
「私もいつかワンちゃんと一緒に花博記念公園に行きますので、皆さんもぜひ大阪四季劇場にお越しください!」
ご本人も仰るとおり、マダム・ジリーとは正反対で、とても明るい秋山さん。
ノリはまさに関西人そのものでした(笑)
そんな秋山さんの舞台上の姿は驚くほど重厚です。
何度観ても、いや、観る毎に更なる感動が生まれます。
感情移入出来ること間違いなし

19世紀グランドロマンの香りに満ち溢れた、濃密で情熱的な極上のミュージカル「オペラ座の怪人」は、大阪四季劇場にてロングラン上演中です。
ぜひお出かけ下さい

